2020年度実績
製品開発アプローチ
「木育デザイン虎の穴」アドバンスコース受講者が保育ニーズと木材の良さを生かした、新しい製品開発に取り組みました。対象とするのは、狭隘な小規模保育所でも活用できる木育ツール。この取り組みに対しては、保育の実践者の意見を伺いながら、求められる要素を見出し、木育ツールの企画・デザイン、そして試作を行い、4点のツールが誕生しました。
課題
3人以上で遊ぶ木育ツール(玩具、遊具など)
- 遊具、玩具など、室内における保育の質の向上に資する製品であること。
- 対象とする施設のニーズを一定程度満たすものであること。
1)バランスピン
受講生:青木健太郎(株式会社 京和木材)
バランスピンのネーミングは回転と均衡(バランス+スピン)をかけ合わせてみました。 3人でバランスをとったり廻ったりしながら身体を使って遊びます。 持ち手はボルダリングのパーツを使い持ちやすくかつカラフルにし、子供達に視覚的に興味を引くようにしています。また、バランスをとって回転するというところから宇宙ゴマをイメージするようなデザインにしました。
2)木のうんてい
受講生:高木大輔・加藤一郎(竹広林業株式会社)
小規模保育園などの決められたスペースで保育された子供たちが次のステップ(幼稚園・小学校)になった時に、インドア派(カゴの中の鳥)にならないでほしい。屋内⇒屋外(世界)を見てほしい。そこで室内と外を繋ぐもの(遊具)があれば興味を持ち・行動するきっかけになるのでは?と思い、考えた遊具です。その遊具(うんてい)が木製で、屋外に庭木などがあればそれと繋がり、木への興味や関わりをきっかけに森に興味をもってほしい。そして2070年の日本のリーダーは森(海川)を好きな人になってほしい、そんな願いを込めました。限られたスペースの壁面に収納出来る、ということも機能の一つです。
3)にほんのきの■(しかく)ちゃん
受講生:堀内 良一(堀内ウッドクラフト)
「にほんのもりの■ちゃん」は、昨年度の「木育デザイン虎の穴」の研修内容から生み出された作品です。狭い保育園環境の中で、一つの遊具でいろいろな遊びが引き出されるように考えました。構造をシンプルにすることで製作コストを下げると同時に壊れにくくし、敷くだけでよいので、置く場所や収納を選びません。平面構造ですが、マグネットが付いているので立体物も作れます。多様な使い方ができる遊具となっています。
4)アイスキャンディーバー 〜みんなで 運んで 繋いで 遊ぼう〜
受講生:三輪 良恵(MIWA Atelier)
シンプルな形と一人では扱えない大きさ、多様な組み合わせが可能な数を用意し、小さな子供たちが3人くらいで「うんしょ、うんしょ」と運び、重ね、並べ、繋ぎながら、自分たちで遊び方を生みだせる遊具を目指しました。
そして、デザインモチーフを子供たちの大好きなアイスクリームにしたことで、子供のみならず大人も、小人になったような気持ちで遊びの世界をつくり、 一緒に楽しむことができるようにしました。
成果発表会
2021年1月23日に飯能商工会議所にて、試作の成果発表会を開催。時節柄、関係者のみ少人数での発表会となりました。
4点の作品に対してデザイン制作者のプレゼン発表と、試作の実製作を担当した株式会社サカモトによる製品解説を行い、実際にツールにふれて意見交換を行いました。